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広報誌Web版『認知症について』

皆さんこんにちは。日中は日差しが強くなってきました。ゴールデンウィークには外出を予定されている方も多いのではないでしょうか。熱中症とコロナウイルス感染症対策をしっかりされて、楽しい時間を過ごされてください。

過日、『認知症について』の健康教室が開かれたので紹介していきます。

認知症とは?

「認知症」とは、いろいろな原因で脳の細胞が死んでしまったり、働きが悪くなったりしたためにさまざまな障害が起こり、生活するうえで支障が出ている状態のことを指します。

認知症は病名ではなく、まだ病名が決まっていない”症候群”です。つまり医学的には、まだ診断が決められず、原因もはっきりしていない状態のことを表しています。

https://info.ninchisho.net/mci/k10

「加齢によるもの忘れ」と「認知症によるもの忘れ」

  加齢による物忘れ 認知症によるもの忘れ
原因 老化 病気
体験した事 一部を忘れる 全てを忘れる
もの忘れの自覚 あり なし
日常生活 支障はない 支障がある

https://info.ninchisho.net/mci/k10

認知症の種類

アルツハイマー型認知症

記憶障害や言語障害、認知機能の低下などの症状があり、70代以上の女性に多い。

ゆっくり進行していき、人格の変化もみられていて、認知症患者の役半数を占めている。

行動自体を忘れたり、近い時期の出来事を覚えられなくなったり、家事などのやるべきことの順序だてができなくなる。

 

脳血管性型認知症

歩行障害や意欲の低下、構音障害、嚥下障害や手足の痺れなどの症状があり、男性に多い。

特定のことは認識できる一方で、他の事が出来なくなる。→「まだら認知」といわれている。

 

まだら認知とは?

日によって物忘れの進行度が違ったり、物覚えは悪くても理解力が低下していなかったりと症状の出現にばらつきがある。

 

レビー小体型認知症

幻視や足のもつれ、歩幅がせまくなったり、手の震えや身体が固まりやすくなったりなどの症状があり、70代の男性に多い。

 

前頭側頭型認知症

初期:ぼんやりが増える、他人に興味がなくなる

中期:同じ行動を繰り返す、集中力がなくなる

後期:精神状態の不安定、食べる事や部屋から出ることが少なくなる

若年層に多い

認知症予防5つのポイント

1.生活習慣病を予防・治療する

血管性認知症やアルツハイマー型認知症は、糖尿病や脳血管障害など生活習慣の乱れからくる病気に起因することも多いもの。そのため生活習慣病の予防や治療をすることは、上記の認知症予防にもつながります。

 

2.運動する

運動は脳が刺激されて認知機能が向上するため、認知症予防につながることが多くの研究で明らかになっています。運動を習慣付けて、日頃から適度に体を動かすことが大切です。

 

3.達成感を味わう

日常生活の中で楽しさや達成感を味わうことも認知症予防に効果的。本人の気持ちも前向きになるでしょう。たとえば料理を作ったり、写真を撮ったり、日記を書いたりして後から振り返れるよう形にするのもいいでしょう。

 

4.他人と交流する

他社とのコミュニケーションも認知症予防に有効です。脳を刺激するほか、気持ちも豊かさをもたらします。家族との会話、ご近所や自治会の交流、共同作業を行うなどの機会をもち、参加し続けることが大切です。

 

5.ご本人が望んで生活に取り入れる

認知症予防で重要なのは、本人が無理なく楽しみながら継続できることです。ガーデニングやウォーキングなど本人の趣味を生活に取り入れて、習慣化できる環境を整えてあげましょう。

 

 

https://kaigo.homes.co.jp/manual/dementia/basic/prevention/

認知症予防の10箇条

  1. 塩分と脂肪を摂り過ぎないバランスのよい食事
  2. 適度な運動を行い、足腰を丈夫に
  3. 深酒とたばこを減らし、規則正しい生活を
  4. 生活習慣病の予防・早期発見と治療
  5. 転倒に気を付ける(特に頭の打撲は認知症リスク↑)
  6. 何事にも興味と好奇心をもつように
  7. 考えをまとめて表現する習慣を
  8. こまやかな気配りをした良い付き合い
  9. いつも若々しくおしゃれ心を忘れずに
  10. くよくよしないで明るい生活を

認知症の危険な習慣

  1. 歯の手入れをしない
    できるだけ口の中をきれいに保つことや自分の歯をできるだけ残すという意識で日々過ごすことが大切。保険が適用される3ヶ月に1回は歯医者さんに診てもらうことが大事。
  2. 深夜までテレビを見て夜更かし
    睡眠時間が6時間以下の人はアルツハイマー型のリスクが30%上がることが分かっている
    睡眠時間は1日6時間以上必要ですが、9時間以上でもリスクは上がるとされており、適切な睡眠時間は1日7~8時間が適切とされている。
  3. 浴室や台所がカビだらけ
  4. 自宅やお風呂などでカビが原因の可能性も指摘されている。今の生活ですとマスクにも注意
    マスクは温度・湿度にもカビが発生しやすい条件となっており、一度私用したら捨てるか洗うかして常に清潔なマスクを使うようにすることが大切。

認知症に有効な具体策

1.食事メニュー

糖質や塩分を抑えつつ、栄養素が豊富な食事を積極的にとることが大事。タンパク質を豊富にとりつつ、栄養が偏らないように、過度な飲酒や喫煙もNG。

料理する行為自体も認知予防に有効なので、可能であればチャレンジする事もおすすめです。

  • 魚介類:サンマ、イワシ、サバ
  • 野菜:キャベツ、ほうれん草、小松菜、にんじん
  • 果物:ブルーベリー、いちご、キウイ、カキ
  • 大豆:豆腐、納豆、味噌
  • 飲み物:緑茶、ワイン
  • その他:ココナッツオイル、オリーブオイル

 

2.ながら運動「デュアルタスク」

デュアルタスクとは2つのことを同時に行うトレーニング法で高い認知症効果があるといわれている。

<具体例>

  • 洗濯物をたたみながら歌を歌う
  • 同時進行で複数のメニューの料理を作る
  • ウォーキングしながらしりとりをする

 

3.囲碁や将棋

対戦相手の手や数手先の展開を考える囲碁や将棋は、記憶力や思考力が高められ脳を活性化できる。

対戦相手や同じ趣味を持つ人同士でコミュニケーションがとれる点も魅力である。

 

4.脳トレ

認知症予防に効果的な脳トレは、文字を書く、計算問題を解く、折り紙や塗り絵などで思考力や判断力が高められ、さらに手指を動かすことで脳も活性化される脳トレは特定のトレーニングだけを繰り返すのではなく、幅広い分野のものを実践するとより効果が期待される。

認知症は予防できる?

現時点では、「現在こうすれば認知症にならない」という方法はない。しかし最近の研究から「どうすれば認知症になりにくいか」ということが少しずつ分かってきた。

認知症を予防する対策は、大きく分けて2種類ある。

1つ目・日々認知症になりにくい生活習慣を行う

2つ目・認知症でおちる3つの能力を簡単なトレーニングで鍛える

 

認知症おちる3つの能力と鍛え方

初期に低下する認知機能が「エピソード記憶・注意分割機能・計画力」です。

これらを意識して重点的に行い、その機能を鍛えることで認知機能の低下を予防する。

 

① エピソード記憶

  • 体験したことを記憶として思い出す。

鍛え方:2,3日遅れで日記をつけてみる。レシートを見ず、思い出しながら家計簿をつけるなど

 

② 注意分割機能

  • 複数のことを同時に行うときに適切に注意を配る機能

鍛え方:一番いいのは料理を行うこと。同時進行で何品か調理する。人と話す時、相手の表情に注意を配りながら話すなど

 

③ 計画力

何か行う際に段取りを考えて実行する。

鍛え方:買い物を効率良くする計画を立てる。頭を使うゲームをする。新しいことにチャレンジする。

 

 

 

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最後に

今回の、「認知症予防」はいかがでしたでしょうか?これからどんどん暑い日が多くなってきます。水分補給をしっかりし、熱中症に気をつけて過ごされてくださいね。

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